あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 社長との会話の途中でコンコンとドアがノックされ、社長が返事をする前にその扉は勢いよく開かれた。

「架くん……」

 現れたのは架くんだった。
 疲れた顔をし、ぜいぜいと息を切らしながらこちらに歩み寄ってくる。

「意外と早かったわね。走ってきたの? ていうか、ちょっと落ち着きなさいよ。お茶でも飲む?」

 社長がそう言って立ち上がったのと同時に、私もつられて立ち上がる。
 だけど架くんは社長の言葉は耳に入っていないようだ。

「葉月……」

 架くんが切ない瞳で私を射貫き、名を紡いだ。

「俺、別れないから」

「……え?」

「なんだよ、ちょっと喧嘩したくらいで別れたいって。俺は嫌だ。やっと手に入れたんだ。納得できるかよ。絶対別れない! 好きなんだよ!」

 架くんが興奮ぎみに言葉を羅列して、私をギュッと力強く抱きしめる。

 架くんがいったいどういうつもりで言っているのか、さっぱりわからない。

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