素顔で最高の恋をしよう
「葉月、わかったでしょ? あなたに出来ることは、架の愛を受け入れて、架を愛すことよ」

 社長のその言葉で、一旦止まっていた涙が再びあふれ出した。

 架くんに嫌われていなかった。
 それがわかるとうれしくて、自然と熱い涙がこみあげてくるのだから、今日は涙腺が緩みっぱなしだ。

「アンタたち、もういいから帰りなさい」

「え、でも仕事が……」

「ほら時計見て? もうすぐ定時だから」

 あきれ笑う社長の表情を見て、私たちもお互いに視線を交わして苦笑いした。
 仕事があるなどと咄嗟に口にしたけれど、こんな顔では仕事にならないのはわかりきっている。

「今日これから、葉月の部屋寄っていい? ふたりで話したい」

 架くんに真面目な顔でそう言われ、コクリと静かに頷いた。

 私もそう考えていたところだ。きちんと架くんに謝らなければいけない。

 架くんを傷つけてしまったことを、心から詫びたいから。

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