素顔で最高の恋をしよう
 ふたりで電車に揺られ、私の部屋に到着すると、この前と同じように架くんがリビングのソファーにゆっくりと座る。
 私はそれを見て、少し距離を取りながら隣に正座して座った。

「架くん、この前はごめんなさい!!」

 ほとんど土下座ような格好でガバッと頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。

「葉月? なにやってんだよ。頭上げろって」

 あわてた架くんが私の腕を掴んで体を起こさせる。
 謝るにしては大げさかもしれないが、これくらいの謝罪でなければ私の気が済まない。

「俺も悪かったから。葉月を喜ばせたかったのに、気持ちを全然わかってなかった。ごめん」

「違うの。私が悪いの。架くんの気持ちを無にするような酷いことを言ったから」

「いや、俺が悪いよ」

「私だよ!」

 そんなやりとりの中、架くんが突如フフっと笑った。

「もうどっちが悪いとかやめよう」

「……うん」

 架くんと仲直りできてよかったと、本当に安堵した。

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