あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「葉月、来週の花火イベント、大丈夫よね?」
パソコンのモニターにかじりつき、カタカタとキーボードを叩く私の後ろにいつの間にか人影があった。
首だけ振り向けば社長が私の肩に手を置き、一緒にモニターを覗き込んでいた。
綺麗なストーンがいくつもあしらわれたネイルが目に入り、上品でフローラルな香水の香りが鼻腔を漂う。
ふんわりと巻かれたツヤツヤの髪が自慢で、シミやくすみなんてひとつもなく、透明感のある肌の持ち主なのが、我が社の杜村 凪子社長だ。
彼女から発せられるフェロモンは、四十代半ばだとは思えない。
「男女とも人数も集まってますし、準備もバッチリです」
「さすが葉月! ぬかりなしね」
ぬかりがないのは、ある意味社長の見た目だと思う。
なにを食べてどんな生活をすれば、四十代でそんなに若々しくいられるのだろうか。甚だ疑問だ。