あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「葉月さんは事務所で昼飯?」

「うん。サンドイッチがあるから」

 横をすり抜けて私が事務所へ戻ろうとすると、その後ろを架くんがついてきた。

「なんだ、あれは嘘じゃなかったのか」

「……あれって?」

「さっき剛田さんが誘ってるの聞こえてたから」

 架くんは、断る口実に私が嘘をついたと思ったらしい。その意見に私は思い切り仏頂面を作って睨んだ。

 自分でも大人げない表情をしているのはわかっているが、どう考えても失礼なのは架くんのほうだ。ハナから嘘だと決め付けてかかられたのだから。
 なにを根拠に私は嘘つき呼ばわりされているのかと、少なからず腹が立った。

「ほら、ちゃんと買ってきてるでしょ? だいたい嘘つく必要なんてないじゃない」

 朝買ってきたサンドイッチを冷蔵庫から出してきて、デスクの上で広げて彼に見せる。

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