あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「ごめん。私がとやかく言うことじゃないよね」

 私は取り繕うように言い、そっと視線を逸らして俯いた。
 私と架くんはただの同僚で、彼の私生活をあれこれ(とが)める資格が私にはないとわかっているのに。

 それに『割り切った子しか相手にしない』なんて……
 まさに私の古傷である元カレの修次ではないか。

 なりゆきとはいえ、架くんに対して修次と同じ人種の扱いをしてしまった自分自身に腹が立つ。
 本当は彼が修次と同じだなどと思いたくないのだ。

「ホストをやってたときは……いろいろあったけど。今は本当に大事にしたい子と本気で恋愛がしたいんだ」

 架くんなら、彼女にしてほしいと立候補する子がたくさんいるはずだけれど、“運命の人”との出会いを待っているのだろうか。

 やっぱり、架くんと修次は同じ人種などではない。全然違う。

 少なくとも、今の架くんは人を愛する心をきちんと持っている人だ。

< 56 / 273 >

この作品をシェア

pagetop