あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 最初は屋内の会場に全員集まり、顔合わせを兼ねてフリータイムで歓談する予定だ。
 肝だめしのことは、こうして仕事をしているうちに気を紛らわせるしかないとあきらめた。
 参加者や運営サイドの観察に徹しよう。

 とにかく先に受付を済ませなければならない。
 意気込んで目的のビルに入ろうとすると、入り口のガラス扉の前で小綺麗な格好をした男性と鉢合わせた。
 特にイケメンではなかったが、格好はわりと洒落ている人だった。

「もしかしてイベントに参加されますか?」

「えっと……そうです」

 道でも尋ねるように、その男性に気さくに話しかけられてしまった。なんとも人懐っこい感じの男性だ。

「僕もなんですよ。あなたも好きなんですか? オカルト系」

「い、いえ……私は別にそういうわけじゃ……」

「ワクワクしますよね」

 この男性はきっと、オカルト好きなのだろうな。超常現象とかの話に没頭しそうな感じだ。
 私はあなたとは違う意味で心臓はドキドキするけれど、間違ってもワクワクはしないです。

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