あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「はぁ………行ったな。やれやれ」

 オカルト好きな男性が離れていくのを見届けたあと、彼はガラリと声色を変えた。

「架くん、これはなに?」

 この男性の正体は、普段とはまったく装いを変えてやってきた架くんだった。

 大昔に流行ったようなフレームの黒縁めがねをかけ、髪は鬱陶しいくらい前髪を下ろしている。
 服装は青と白の太めのボーダーのポロシャツを身に着けていて、架くんのイメージとはかなりかけ離れていた。
 わざわざオタクっぽい格好を狙ったのだろうか。こうなると、イケメンオーラは普段の半分以下だ。

「一瞬、架くんだとわからなかった」

「はは。いい変装ぶりだろ?」

 落ちていたものすべてを拾って立ち上がれば、彼は自慢げにフフンと笑う。

「変装して行けって凪子さんがうるさいから、友達に一番ダサい服を借りてきた」

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