あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「架くんは怖くないの?」

「俺? 全然平気。だってただの廃墟だよ? そこに幽霊がいるかどうかもわからないし。俺は今まで幽霊を見たことがないから、一度会ってみたいくらい」

 自分との温度差をめちゃくちゃ感じた。
 今から足が震えてくる私と、どこか楽しい場所へでも行くような架くんは、両極端だ。
 一度会ってみたいなんて悠長な発言をしていると、本気で憑りつかれないか心配になってくる。


 会場である廃墟の前に到着した。
 どうやらここは、今は使われていない工場の跡地のようだ。
 普段は敷地に入れないように、門扉に施錠がしてあった。

 中に入ると建物は古く、そのまま放置されているせいか窓ガラスがバリバリとあちこち割れている。

「建物がいきなり崩れ落ちる心配はありませんが、暗いので足元には気をつけてくださいね!」

 スタッフの女性が明るい声で全員に向かって注意喚起した。

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