あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「葉月さんが先導してくれるんだ」

「え?!」

「だって、懐中電灯を持って俺の前を歩くってことだろ?」

 いや、そういう意図はまったくなかった! 誤解するにもほどがある。

「絶対無理!! これは返す!」

 まるで爆弾でも持っていたかのように、懐中電灯を架くんの手に押し付けるようにあわてて戻した。
 そんな私の様子を見て、架くんがこらえながらクスクスと笑う。

「そんなに怖い?」

「最初から怖いって言ってるでしょ!」

 彼はずっとなにを聞いていたのだ。私は冗談など口にしていないし、本気で苦手だと伝えてきていたのに。

「ほら」

 架くんがおもむろに掌を上にして左手を差し出す。

< 72 / 273 >

この作品をシェア

pagetop