あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「なにも聞こえないけど?」

 前を行く架くんの悠長な声が聞こえる。
 だけど今はそのノーテンキさが怖さを軽減させてくれている。無言で歩かれるほうがよほど怖い。

「音がしたでしょ。ギギギギギっていう……」

「したっけ?」

「したよ!」

 そんなやりとりをしていると、私の視界の左端になにか白いものが揺らめいた。

「キャーー!!」

 私は悲鳴をあげ、ギュッと目をつぶった。なにか見てはいけないもだったのだろうか。心臓がドキドキしすぎて痛い。

「どうしたの?」

「な、なんか……白いものが……」

「どこ? あ、あれだろ? 蜘蛛の巣だよ」

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