あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「え? 葉月さん、大丈夫?!」

 私は首を横に振って無理だとアピールをした。
 すると架くんは繋いでいた手を放し、両手を私の背中に回して、懐中電灯を持っていないほうの手でゆっくりとさすった。

 目の前には架くんのポロシャツ越しの胸板があり、体勢的に思わず額をそこへ預けてしまう。
 まるで抱きしめられているような感じだけれど、今の私にそれを意識している余裕はない。

「とりあえず出よう」

 労わるような声をかけられ、肩をがっちりと抱かれつつ足早に廃墟の外へと出た。

 それでもなかなか私の吐き気は治まらない。
 仕方なく架くんがイベントスタッフの元で事情を話し、私たちは全体の解散よりも先に帰ることにした。

「俺、今日車で来たから送って行くよ」

「ごめん、今は車には乗れないと思う」

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