あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「俺、葉月さんが怖がってるのはわかってたのに。かわいいから、ただ傍観してた。こんなことになると思わなくて」

 架くんから手渡されたペットボトルを頬に当てるとひんやりして心地よかった。
 その中身を今度は体内に少し流し込めば、食道から胃へと冷たい感覚が落ちていく。

「本当にごめん。気分、大丈夫?」

 架くんの言葉に温かみを感じるのは、反省の色が乗っているからだろうか。
 ……いや、違う。彼は元からこうなのかも。

「休めば大丈夫だし、架くんのせいじゃないよ。だから謝らないで?」

 私がそう言うと、架くんは苦味を帯びた笑みで軽くうなずいた。どうにも体裁が悪いようだ。

「俺……葉月さんみたいなタイプ、初めてで」

 隣に座る架くんがポツリとつぶやいたが、私は意味がわからなくて無言で首をかしげた。



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