あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 知らず知らずのうちに私がそう思わせるような態度を取っていたのかもしれない。
 私が架くんにだけ不愛想だったのか……そうだとしたら反省しなくては。

「葉月さんは真面目で固い感じだから、俺みたいな男は絶対嫌いなんだと思ってた。……元ホストだから」

 チャラい男性が苦手なのは間違っていないが、架くんの場合は接すれば接するほどそうではない気がしてきている。

「嫌いじゃないよ」

「本当に? じゃあ、むしろ好き?」

「そうは言ってない」

 どうしてそういう単純な発想になるのかな。
 間髪いれずに否定すれば、架くんがわかりやすくガクッと肩を落とした。
 この仕草を素でやっているのだとしたら、やはり架くんは女の子にモテると思う。

「でも、嫌われてないならうれしい」

 ハニかむ架くんの笑顔は、夜の公園の外灯でもわかるくらい輝いていた。

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