素顔で最高の恋をしよう
 笑顔を作るのは、もうクセのようになってしまった。
 とりあえずそうしておけば、相手の心象は悪くならないと知っているから。
 だけどそれ以上相手と距離が縮まらないように、無意識に自分でセーブしてしまっている。

「俺、葉月さんにはいつも素顔でいたいと思ってるから」

「架くんはいつもスッピンでしょ」

「そうじゃなくて! 俺という人間の中身を見てほしいんだ」

 架くんがどういう意味でそれを言ったのか、私も最初から理解はしている。
 上辺だけの薄っぺらいものではなくて、もっと深い交流を望んでいるのだろう。

 ……それは同僚としてなのか、友達としてなのか。

「恋愛するなら……浮き足立ったやつじゃなくて、安定した恋がいい」

 いつのまに恋愛の話になっているのかわからない。
 まさか私が架くんの恋愛対象なのか……いや、それはない。

「架くんって……」

「ん?」

「今は彼女いないの?」

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