涙の数だけ愛した証拠。

憧れと好きな気持ち


「先輩!コンクールの入賞おめでとうございます!」
「さすがですよね!」


「そんなことないよ、ありがとう」


私は八坂菫
小さい時から絵を描くのが好きで今は美術部の部長を務めている


1年後には高校受験があるのに絵なんか描いてる場合じゃない、と周りに言われるが、絵は私にとってはとても大事なものなのだ


「菫ーお疲れ様!」


「茉利、待っててくれたの?」


「うん!“美人で絵が上手くてその上勉強もできる菫先輩”の親友で私は嬉しいよーっ」


「そんなんじゃないよっ」


浜辺茉利、吹奏楽部で私が小学生の時からの一番の親友


「帰ろっか」


「そうだね!」


と、学校を出たすぐの曲がり角でこちらに手を振る人影が見えた


「菫、あれ白神先輩じゃない?」


「お疲れ!そろそろ終わる頃かなって待ってたよ!」


彼は白神雪也、私の2つ年上の幼馴染みだ


「どうも、高校に入ってから毎日可愛い女の子を探して帰るようになった雪也先輩」


そういいながら私は雪也の真横を素通りした


「茉利行くよ」


「菫ー!?待ってー!」


そう言いながら必死に追いかけてくる雪也を無視して私は歩いた


「あれ、菫ちゃん?」


ふと声がした方を振り返った


「しゅ、柊先輩!?」


「わぁー!お久しぶりです!柊先輩!」


そう言って茉利が駆け寄って行く


彼は2年前美術部で部長を務めていた雪也の親友の文月柊先輩


私は彼の描く絵に心を惹かれて今では一番の憧れの先輩でいる


「お久しぶりです!ど、どうされたんですか!?」


緊張のあまりに慌ててしまう


「今日は雪也の家で勉強会することになったんだけど雪也が菫ちゃんを迎えに行くって言うから…」


久しぶりに見た先輩は前とは違って大人びていた


先輩が中学を卒業してから何ヶ月かは私に絵を教えによく学校へ来てくれていた


「(最近勉強で忙しくてあまり来てくれなくなっちゃったけど仕方ないよね)」


「よかったら、また空いてる時中学校遊びに行こうかなって思ったんだけど」


「本当ですか!?」


「じゃあ私も菫の絵見に行きたーい!」


先輩にまた絵を教えてもらえる


そう思うと嬉しさが込み上げてきた


「是非お願いしたいです」


「あはは、そんな深々お辞儀しなくていいよ」


私は先輩の笑う顔が好きだった
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