私のダーリン

略奪阻止

私は、夕方まで
会社から出された課題のレポートと
格闘し
コーヒーを飲んで
「ふ〜〜。少しはましにかけたかなぁ？
それにしても、まだ半分もあるよ…。」
壁掛けの時計を何気に見ると
時計の針は…5時を
少し回っていた。
「やだ！約束してたんだ！
着替えなきゃ」
ピンクのジャージと黒ぶちメガネ。
急いで、ベッドに投げ置き
ナチュラルメークで済ませ
クローゼットから、
控え目な感じの淡い花柄のワンピースを
出して
着替えた。
「遅刻しちゃう。急ごう！」
慌てて外へ、
いつものように右に曲がる。
少し歩きバス停を目の前にした。
私の横を
黒いスポーツタイプのRV車が近づく、
プップ！
窓が開いて
「和香ちゃん？迎えにきたよ！」

ふと、私の中で疑問が…。
「町田くん。なんで？家知ってるの？」
「あ〜。新入社員名簿こっそり見たんだ
でナビで検索してね。」
私は…怖くなった。
この人…。
凄くゾッとする感覚。
怖くなった。
「あの、やっぱり…今日は、行けません
用が有って…。」
「なんで？約束したじゃん！」
車から降りた町田くんは
私の腕を掴んだ。
「離して！痛い！」
だんだん強く引かれる腕、
怖い、怖いよ。
「いや〜〜！しゅ…しゅん！！」
私の体に覆いかぶさるように
体が…。
もう…ダメ…。ギュッと目を閉じた。

その時、
ぐるんと体が後ろに引かれ
安心する香り、
「俺の彼女に何してんだよ！触んじゃねぇ！！」
低くて威圧感いっぱいの声。

私の大好きな香りを放つ人。

「和香、大丈夫か？心配かけんなよ。」
私は…思わず
「しゅ…ん。」
安心する隼の胸の中。

「なんだよ！あんた！俺たちこれから
支店のフェア見学して、食事に行くんだけど、邪魔しないでくれないかなぁ？」

「だれが？はぁ？？お前頭大丈夫か？？
和香は、俺のものなんだよ！！
大体、女を無理矢理なんてな！男のする事じゃねぇんだよ！」
ガッンと隼の拳が振りかぶり。
「ごめん、和香ちゃん。でも、俺は
あきらめないから」

「あんたにも言っておくよ。和香ちゃんと俺は同期になるんだ。これからずっと
同じ場所で仕事するんだ。機会はこれからだってたくさんある。悪いけど、
必ず、俺を好きにさせるから」
そんな捨て台詞を放ち
車で去っていった。
「和香、俺以外の男接近禁止だ！」
「怖かった…。」
溢れて止まらない涙。
しゃくり上げて泣いてしまった。
隼のワイシャツが
涙で滲む。
それでも、ずっと抱きしめてくれた。