私のダーリン

ワンワン泣いてる、和香を
ただ黙って抱きしめた。


俺は、仕事の事で大学の同期、松下夏帆と
イタリアンレストランで打ち合わせをして
別れた。
その後からだ。

和香と連絡がつかなくなり、
訳が分からず、
親友の若葉に連絡すると

俺と夏帆の仲を疑い落ち込んでいると
言われた。
そもそも、仕事が忙しくなかなか
会えずにメールで済ませていたせいか
余計に和香は、夏帆との事を…。
一か月近く連絡がつかず
落ち込んでいたのは俺の方で
その訳もようやくわかった。
就職先の研修が始まっていたらしい。
そんな事さえ、知らなかった。
彼氏なのに。
若葉からの帰ってきたみたいだから
連絡してみたら！と。
携帯に電話すると
冷たい言葉。いや、涙声だった。
誤解してる、そう言おうとしたのに
切られてしまった電話。
とにかく会って話さないと
和香の家に向かう途中だった。
悲鳴にも似た
和香の「離して…。しゅっ…しゅん！」
震える和香を抱き寄せた。
甘い香りを放つ和香。
腕を掴む男を一喝した。
ふざけやがって！！
拳を振りかぶると
ビビったのか、
逃げていった。

震えながら泣きじゃくる和香を
強く抱きしめた。