私のダーリン
帰り道、パンパンな足。
パンプスが新品なせいで、靴づれが
痛い。
足を少し引きずるように
ゆっくり歩き出した。

バックの中で携帯がなる。

「はい…」
「あっ!和香!お母さんよ!お疲れ様。
ごめんね。今日、友達とお食事会なの。
悪いけど、外でご飯済ませてきて?」
「うん…。わかった。はい…」
見上げた夜空の
キラキラと光る星が今夜は、
少しつらい。

疲労感いっぱいの私は、
今日の仕事の鈍臭い動きに
反省ばかり。

「はぁー。隼に…会いたい。抱きしめて
欲しいよ。」

通り過ぎる車のライトに
目を細めた。

プツプツ。見慣れた車。

「和香?迎えに来たよ。」
「隼!!うわ〜ん」
私の大好きな香りを放つ
暖かな胸に飛びついた。

「おっ、こら。どうした?うん?」
長い睫毛、茶色の瞳。
サラサラした前髪、キュとした口元。

「今日ね…。わたし…。」
ヨシヨシと頭を撫でてくれる隼。

助手席に乗り、
「落ち着いたか?頑張ったな。社会人になるって大変だろ?」
「うん…。凄く…。」

「大丈夫だ。好きな仕事につけたんだ。
これからだよ。その先輩とやらに少しでも近づけるようにゆっくり勉強していけば良いんだ。」

「隼…。ありがとう。」グー。
「ははは、腹減ったか?
よし!飯行くか」
「うん!!」
どんな時も私をちゃんとわかってくれる
たくさん、勇気や自信をくれる。
隼…。




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