私のダーリン

優しさの答え

来週から、本格的に
それぞれの部署での仕事を
任せられる。

要するに、ひとり立ち。

定時で仕事を終え、
待ち合わせの居酒屋へ。

店の玄関を開け中へと入った。

奥のボックス席に
笹本が座り、
先にのみはじめていた。

「よっ!来たな!うじうじ男子!」

「うるせ〜よ。はぁー」

「何飲む?」「とりあえず、生。」

店員に注文して、

タバコに火をつけた。
「ふぅー。」
ビールが運ばれてきた。
「ほら、かんぱーい!
って何に?ってか?」
「なんだよ。俺は…諦めてなんか…」
わかってた。惨敗なのは、ただ
受け入れる器が今の俺には…。

「町田。辛いかもしれないけど、
引き際は、持たなきゃ。ただ
、忘れなくていいよ。人を好きに
なるって…素敵だもの。相手が幸せに
なるなら、それを素直に良かったって
そう思うこと。」

「あ…。そうかもな。確かに」

「何でも聞くよ。失恋の痛み。この際
吐いちゃいな!!で、明日から
しっかり、仕事しろ!わかった?」

冷たいビールが喉を刺激して
俺の中の傷がびりびりと染みた。
笹本は、いつも落ち込む俺の話を
ただ、押し付けるのでもなく、
頷き、優しく笑ってくれる。
気ずくといつも寄り添って、
なんで、俺なんかに…。
胸の中に暖ったかい
言葉が入って来るんだ。


俺たちは…それから
散々飲み、ベロベロで
店を出た。

ふらつく足元、
「こら!しっかり歩け!町田〜〜」
「お前こそ、ふらふらだろ〜!」

「わらし!アパート直ぐそこだから〜
じゃ〜〜ね。」
離れていこうとする笹本を
俺は、
「一人にするなよ…」
「へぇ???なりよぉ〜〜。シャーないな、うち、来る??」
ゆっくり歩き、
笹本のアパートに着いた。
鞄から鍵をだし
「どう〜〜ぞん」

ソファーの上にドカンと座り込んだ。

「みず〜〜?飲む?」
差し出されたコップを持ち
一気に流し込んだ。

「ふぅー。」
ちょこんとソファーの横に
すわる笹本。

「こら!元気だしぇ!まーちーだー」
こいつ…こんなに可愛いかった?

ほんのり頬をピンク色に染め
にっこり笑う。

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