私のダーリン
賑やかなホールでの同窓会を
楽しみ、
「隼、そろそろ帰るか」
「そうだなぁ。」

「なに〜!二次会行こうよ〜」
「いや、明日は、久しぶりの休みだし
行くとこあんだよ。」
「和香ちゃんか?俺も、若葉んとこ」
「ヤダ〜。せっかく、会ったのに〜」
かなり酔っている、ゆかり。

「ゆかりー!帰ろっ!」
「何でよ〜。みんな、冷たい!」
「はぁ…」
「面倒くせ〜なぁ」
俺たちは、近くのBARに
移動して
軽く飲むことにした。

学生の時、顔を出していた店。

「おっ!珍しいメンバーだなぁ?」
「同窓会だったんですよ」

マスターは、
慣れた手つきで
みんなに、カクテルを作ってくれた。

「カンパーイ!」
誰かの携帯が鳴る。

「あっ!俺だ!」祐が外に出た。

「ごめん。私も、社からメール、
急ぎみたいだから。帰る
。ほんと、ごめん」
戻ってきた、祐は。
「若葉が泣いてんだよ。心配だし
行くわ!わりー」

そして…俺とゆかりだけに。

「みんな…帰っちゃた。」
「あ…。俺もそろそろ…」

腕を掴まれ、もたれてくる、ゆかり。
「なんだよ…」
「隼…。帰らないで…。
一人にしないで」

「お前、酔ってる。タクシー呼ぶから
帰るんだ!」

「…。やっと、会えたのに…。好きなの
隼…。忘れたことなんてなかった。」

「放せよ。もう、終わったことだろう」
そう、ゆかりとは、大学一年の夏
付き合っていた。
俺は、彼女より、ダチ優先。
当然、
「私と、友達どっちがら大切なの!」
そんな事ばかりの
ゆかりに、疲れてしまい、
「面倒くせ〜!別れよ!」
一方的に
別れた。綺麗でスタイルの良いゆかり。
連れて歩くには、なんて
軽い考えだった。
はっきり言って、
そんなに好きでもなかった。
自分勝手。そうかもしれない。
人を真剣に好きになるなんて
面倒くせとさえ、思っていた
俺、ガキだったんだろう。

「隼…私、別れよって言われて
立ち直れなかった。
気持ちが…。だから、あの頃より
うんと、綺麗になって、あなたに
逢いたいって、同窓会、参加したの」

「悪かった。でも、俺には
大事な子がいる。悲しませたくない。
だから、その手離してくれ」

「だったら、キスして。最後にする。」
「それは…できっう」
無理やり
重ねた唇。
引き剥がし、
BARを出た。

そんな様子を
和香の会社の子が見ていたなんて
知らずに。

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