私のダーリン
甘い時間を取り戻し、
俺も和香も、また、忙しい毎日に
戻っていた。


「海東、新しく立ち上げが決まった。
お前が主任として頑張って欲しい。」


「ありがとうございます。」

「もうすぐ来るはずなんだが…」
バタバタっと走る音。
「遅くなりました。」
年齢は、20代。

「おぅ!矢野君だ。」
「彼が、海東、お前の下に付く。それと
関西支社から来るアドバイザーの…」
「どうも、おひさしぶりです。
中島部長。」
「真鍋奈緒さんだ。仕事の出来る人だよ
海東も、勉強になるだろう。まぁ、
真鍋くん。よろしく頼む。」
「貴方が、海東 隼さんね。よろしく」
「お願いいたします」
それから。
彼女、真鍋さんと、矢野真太郎
企画プログラム室を立ち上げ
毎日が忙しく過ぎていた。

時計の針が
10時を指す。
「フゥ〜。もうこんな時間なのか」
コンコン、
「どうぞ」
「お疲れ様です。海東主任」
「真鍋さん。帰ったんじゃなかった?」
「たまたま、社の前を通ってね。
明かり点いてたから。」
差し出されたコーヒーとフレッシュサンド。
「ありがとう。」
「どう?進んでる?」
「まぁまぁですね。後は、細かいところを修正して」
ふと横に目線をやる。
「ねぇ。名前で呼んでいい?隼」
長い髪を横に流し
俺の肩に手を乗せた。
「どうでしょうね。名前は、マズイですね。」
「何で?私達上手くやれそうなのに」
甘い香りを放ち
俺を見つめた。
「仕事に関しては、上手くやれると
思います。」
「プライベートも?仲良くしてよ」
「それは、無理ですね。」
「ふっ、私の誘い断ったの貴方が初めて
だわ。断然、やる気出てきたんだけど」
「そのやる気、
仕事だけにしてください」
「貴方、言うわね。」
「これ、ご馳走さまでした。じゃ
俺、帰ります。」
席を立ち、フロアを抜け
外に出た。
スマホを握り
コール。
「はい。あっ!隼?お疲れ様。遅いね
身体大丈夫なの?」
「平気だ。和香の声聞けて。」
「ふふふ。私も!隼…大好きよ」
「バーカ。俺は愛してる。」
「早く会いたい。週末そっちに行けそうなの。」
「そうか!なら、金曜日仕事終わりで
おいで。駅に迎えにいくよ」
「うん!わかった!おやすみなさい。
隼。お仕事頑張ってね。」
「おやすみ。和香。」
スマホを切りかけたその時
「やだー!隼!」
なんだ?
スマホを横から奪い
「もしもし?貴方だれ?私の隼に何か?」
「えっ??あの…。」
「私、奈緒。今から隼のマンション!」
「おい!やめろ!勝手な事言うな!」
隼…。奈緒って…。マンションって…
なんなの?ねぇ…。
頭の中が真っ白になっていた。
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