私のダーリン
しばらく待つと、柔らかな笑顔をみせながら
同僚に挨拶して
出てくる和香を見つけた。

ビルの壁に寄りかかりこちらへ歩いてから和香

「和香‥!」

「えっ?隼‥。なんで‥」
「話しがある!」
 咄嗟に腕を引いた。
「離して!聞きたくない!」
「頼むから聞いてくれ!」
「今更、何を‥話すの。」
とにかく2人になりたかった俺は、
乗ってきた車に和香を無理矢理乗せ
走り出した。
「降ろして!」
「駄目だ!今ここで降ろしたら後悔するんだよ俺が!」
2人でよく行った海の見える公園の駐車場に車を止めた。
「和香、誤解なんだ。俺が任せられた
大きなプロジェクトのアドバイザーとして
来ていた女で何でもないんだよ。
嫌がらせしてスマホを取られたんだよ。」
俺は、必死にあの日の事を説明した。
「ほんとなの?うっうっ。」
ぼろぼろと涙が止まらない和香を
思いっきり抱きしめた。
「ごめんな。仕事が立て込んで中々
会えないし、お前連絡しても繋がらないし」
「だって、わたっし‥す‥てらたって」
「俺が、信じられないのか?」
「あんな電話‥うわ〜ん」
そっと掌で涙をすくい取り
柔らかな唇にキスをした。
「隼‥ほんとうは、会いたかった。でも
もし、あの人がいいなら諦めなきゃって」
止まらない涙。
「俺は、和香しか愛せないんだよ!お前以外
要らない!」
「隼‥」
落ち着くまで抱きしめた。
「和香。大切な話しがあるんだ。来月から
アメリカに行こうと思う。あっちで頑張って
こようと思う」
「えっ?また、離れ離れに。ましてアメリカ
‥そんな」
「大丈夫。必ず結果出して帰ってくるから」
「なぁ、和香‥一度しか言わないからちゃんと
聞いて?」
「俺のこと信じて待ってて欲しい。
松中和香さん、結婚して欲しい。」
「隼‥私でいいの?」
「お前がいいんだ」
「返事は?」「は、いよろしくお願いします」
「和香‥愛してる。必ず幸せにする」
「でも、離れてなんて‥もう嫌。」
「わかって欲しい。半年、いや、一年。
帰ってきたら一緒になろう」
ようやく和香にきちんと話すことができた。
俺は、安堵していた。



 
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