嫌なアイツ
だから翔は私が心の中で叫んでた言葉を正確に忠実に私に返して来たんだ…
私は穴があったら入りたい…
そんな気分だった…
『愛莉さん?貴女は何故?私を嫌いなんですか?良かったら教えて頂いてもいいですか?』
翔の質問に…
………………。
黙る私…
言える訳が無いでしょう…
本人を目の前にして
何て言うの?
『下を向いてアスファルトばかり観てると首が痛く成りますよ?』
そんな問い掛けにも私は黙ったまま…
ずっと手を握られたままの私…
逃げようと何度か?試したけど…
『逃げれませんよ…僕からは…』
そんな声が上から降って来た…
逃げたい…
逃げたい!
こんな奴から…
何度も試みた握られた手を解こうともう片方の手で…
その度に握られる手が変わる…
はぁ~
私は大きく溜め息を吐いた…
そして翔に向かって
【離してくれませんか?】
と言うと…
『愛莉さん?貴女が僕の質問に全く答えてくれないからですよ?』
翔が言った。
【質問って?一体なんの事ですか?それに私は美術展示に来たのに何故?外に出され無くちゃ行けないんですか?】
と逆に質問した。