貴方に会えたから。
そして、とてもいいずらいことなのですが……これから病気はさらに進行していきます。
そして、いずれは腫瘍が脳を圧迫し、記憶障害がでてきて、記憶喪失になる可能性があります。
貴方の名前も、どんな人だったかも、そして、貴方が彼女だということも忘れてしまうかもしれません。
桐谷さんに記憶をむりに思い出させようとすると、きっと桐谷さんは苦しむことになると思います。
どちらにせよ、桐谷さんはこれからなんらかのかたちで傷つくと思います。
なので貴方には桐谷さんの支えになっていただきたいのです。
今お話しさせていただいた内容は本当は親族にしか話してはいけません。
ただ、桐谷さんの貴方に対する並々ならぬ愛情と、あなたがたお二人のお互いを思い合う気持ちをおもって今回お話しさせていただきました。」



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