貴方に会えたから。



その後も翔は弱音ひとつはかず、必死に治療を頑張っていた。


全てはふたりの将来のため、バスケをしたいがため、産み育ててくれた両親のため……


頑張って頑張って頑張り続けてきた。


それでも一度だけ、たった一度だけだけど私に弱音をはいてくれた。


私たちはお互いに正直な恋人になりたい。


だから本音をいいあう。


そう決めたのに、翔はひとりで抱え込む。


翔はそのとき、素直に辛いといった。


「なんでた!なんでなんだよ!
なんで俺が病気になんなきゃいけなかったんだよ!
つれーよ!
頑張っても頑張ってもいっこうによくらなねぇ。
……大好きな…バスケの感覚も………もう…………わかんねぇよ……」



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