貴方に会えたから。


その間の2週間も私は毎日翔に会いにいき、時間の許す限り翔のそばにいた。



そして2週間後、翔はようやく目を覚ました。



「翔〜! 良かった〜!
目を覚ましてくれて!
心配したんだよ!」



「あ、ありがとうございます。
あの、貴方誰ですか?」



「えっ?」



そう。
翔は私のことを覚えてはいなかった。


2週間の間に私を忘れてしまったということ?



前に先生に言われてたから、
いつかは…
そう思って覚悟はしていた。



でも、実際そうなってみると
やっぱり辛い。



翔は私を誰かも分かっていない。



名前も知らない。




今まで共にかさねてきた時間が、
一気に音をたてて崩れていくようだった。





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