傷む彼女と、痛まない僕。

　小山くんの目を見ながら訴えかけると、小山くんはそんな僕からスッと視線を外し、ポケットから携帯を取り出すと、それを弄り始めた。

　小山くんは、僕に吉野さんの家の住所を教える気はないのかもしれない。

　「小山くん、お願い！！」

　頭を下げてもう１度懇願すると、

　「まだ届いてない？？　LINE」

　小山くんが、僕がいつも携帯を入れている制服のポケットを指差した。

　「・・・え？？」

　ポケットに手を突っ込み、携帯を引っ張り出して見てみると、吉野さんの家の住所が書かれた、小山くんからのLINEメッセージが届いていた。