傷む彼女と、痛まない僕。

 「んー。 ゴール下も3Pも難しいなら、3Pの線の内側から相手をかわしながらのフェイダウェイシュートで、2P狙うとか??」

 僕が説明している時に、小山くんにパスが通った。

 突然立ち上がる吉野さん。

 そして、

 「小山!! 3Pの内側の線から、ランナウェイシュート!!」

 吉野さんが小山くんに大声で叫び出した。

 ・・・ん?? ランナウェイ??

 「違う!! 吉野さん!! フェイダウェイ!!」

 「え?? フェイダウェイ?? 何それ。 小山!! 間違った!! フェイダウェイだって!!」

 吉野さんの声に、小山くんがチラっとこっちを見た後、ゴールから少し離れた位置からフェイダウェイシュートを放った。

 小山くんの手から放たれたボールは、綺麗な弧を描き、ゴールに吸い込まれて行った。
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