傷む彼女と、痛まない僕。
「あ、強制じゃないから、嫌だったら断ってくれて全然いいし。 もしだったら、1回持ち帰って家族とかお医者さんとかに相談してから決めてもいいし」
押し黙る僕が入部を渋っている様に見えたのか、小山くんは『今決める事ないから。 ちょっと考えてみてってだけだから。 気軽に考えて』と、断り易い逃げ道を用意してくれた。
バスケ部に、入りたくないわけがない。 ただ、
「・・・僕なんかがバスケ部に入っていいのかな。 みんなの足手まといにならないかな。 迷惑じゃないかな」
どうしても不安だった。 だって、僕は病気を持っている。
視線を落とし、無意味に体育館の床の継目を見ていると、隣で立ち上がったままでいた吉野さんが『ストン』とステージから飛び降り、下から僕の顔を覗き込んだ。