傷む彼女と、痛まない僕。

 「吉野もどう?? バスケ部。 北川と一緒にマネやらない??」

 小山くんが、吉野さんの事も部活に誘う。

 「ワタシはバイトがありますので、遠慮します」

 が、吉野さんはサックリ拒否。

 「勤労少女です事。 働くなんて、社会人になったら嫌ってほど出来るだろ。 高校の部活なんて、今だけだぞー。 青春は一瞬なんだぞー」

 それでも食い下がる小山くんを、

 「・・・幸せなヤツ。 てゆーか、小山。 アンタは体育見学組じゃないでしょうが。 さっさと戻りなよ。 イイ加減先生に怒られるって」

 吉野さんが細い目をしながら『シッシッ』と手を前後にひらつかせて追い払う。

 「~~~~~確かにー」

 焦った様子で小山くんはコートに走って行った。
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