傷む彼女と、痛まない僕。
「北川ー。 大ちゃんの独り占めはまじで許されないからな。 大ちゃんはバスケ部のアイドルなんだから、そんな事しようものなら、センパイたちに八つ裂きにされるぞ」
『コラコラー』と言いながら、小山くんが僕らの間に入ってきた。
・・・大ちゃん。 あぁ、大崎さんの事か。
小山くんの言う通り、確実にモテそうな大崎さん。
だがしかし、大崎さんに色々とマネージャーの仕事を教わらないとだから、大崎さんとの時間はどうしても増えるわけで。
「最大限気をつけます」
楽しく部活がしたいので、3年生に目を付けられない様に、大崎さんから教わる事は1回で覚える様に努力しよう。
僕は、恋愛がしたくてバスケ部に入ったわけじゃない。
「もぅ!! 小山センパイ変な事言わないで下さい!! ワタシ、アイドルでも何でもないです!! ワタシ、マネージャーが増えて嬉しいんですから、北川センパイも余計な遠慮なんかいりません。 ワタシ、北川センパイと仲良くなって、一緒に選手たちをサポートしていきたいです」
距離を置こうとする僕が気にかかったのか、大崎さんが口を尖らせて可愛く怒った。
完璧だな、このコ。
可愛くて、性格が良い。 本当に良い子。