傷む彼女と、痛まない僕。

 「小山センパイ、余計な事言ってないで、シュート練習してきてくださいよ!!」

 大崎さんが小山くんをコートに戻そうと、小山くんの背中を押した。

 「大ちゃんヒドイ・・・。 北川の事頼むね!!」

 大崎さんに追い返されながら、『慣れるまで居心地良くないかもだけど、すぐ馴染むから。 バスケ部みんなイイヤツだから心配しなくて大丈夫。 何かあったらすぐ言うんだぞ。 溜めるのは良くない』と僕に言うと、小山くんは自らコートに走って戻って行った。

 優しい小山くんは、大崎さんと僕にチャチャを入れたかったわけではなく、僕の緊張を解き解して、大崎さんに僕の面倒を見てもらうお願いをしたかったのだろう。

 小山くん、超イイ人なのにな。

 吉野さん然り、大崎さん然り。

 どうして女子に蔑ろにされてしまうのだろう。

 不憫。
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