傷む彼女と、痛まない僕。

 「・・・そうかもしれないけど、じゃあ女王アリもアリの巣から掘り起こして殺してあげないと。 働きアリを善意とやらで踏み殺して、女王アリは餓死させるの?? 虫は、痛点はなくても飢えは感じるよ」

 吉野さんの良く分からない正義感に、僕も負けじと反論すると、

 「いいよね、北川くんは。 北川くんも痛点ないんでしょ?? それって最強だよね。 無敵じゃん」

 吉野さんは、僕の意見に答える事なく話を変えた。

 『北川くんにも痛点ないんでしょ』-----------そう、僕も痛みを感じない。 なんなら、暑さも寒さも分からない。
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