傷む彼女と、痛まない僕。
救う彼女。
-----------吉野さんの気持ちがほんのり理解出来たからと言って、僕らの関係が発展する事はなく。
吉野さんは相変わらず『ここから先、立ち入り禁止』とばかりに、目には見えないガッチガチのバリケードを張り巡らせている為、距離を縮められるはずもなく。 かまってちゃんのくせに。
ここ数日で変化した事と言えば、小山くんのおかげもあって、部活にすっかり馴染んだ事。 小山くんととっぷり仲良くなれた事。 大ちゃんから、毎日LINEメッセージが来る事くらいだ。
どこから嗅ぎつけたのか、はたまた大ちゃん本人から聞いたのかは分からないし、別に知らなくてもいいから聞こうとも思わないが、大ちゃんとLINEのやり取りをしている事を、何故か大ちゃんと僕をくっつけようとする小山くんに知られた時は『鬼の首取ってやった!!』くらいの勢いで小山くんに絡まれまくった。
無論、付き合う事はない。
あまりにも連日大ちゃんからLINEメッセージが来るから、『もしかして僕の事好きなのかな??』とは思いましたよ。 正直ね。
でも、大ちゃんは『男好き』レッテルを貼られて女子から睨まれているらしく、部活の男子とはあからさまに仲良くし辛いだろうし、バスケをやらず、女子にキャーキャー言われる要素のない安全な僕が、態の良い話相手なのだろうと推測。