傷む彼女と、痛まない僕。
世話焼きな彼女。



 その日から、なんとなく吉野さんを目で追う様になった。

 吉野さんは、いじめられているわけでも、ハブられているわけでもないが、群れるのが嫌いな性格なのだろう。 1人でいる事が多い。

 周りを寄せ付けない、『話かけるなオーラ』さえ見える吉野さん。

 なので僕も、彼女には近づかず、遠くから見ているだけだった。

 彼女の様子は今日も同じ。 いつもと変わらない。

 つまらなそうで、何かにイライラしていて、どこか辛そうで、悲しげだった。
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