傷む彼女と、痛まない僕。
トイレットペーパーをゲットして準備室に戻ると、程なく炭酸飲料を手にした吉野さんが帰ってきた。
「ハイ、どうぞ」
吉野さんが、買ってきた炭酸飲料の缶を僕に差し出した。
吉野さんから受け取った炭酸は、宣言通り入念にシェイクされていて、プルタブを開けると、勢い良く水分が飛び散った。
何がそんなに面白いのか分からないが、何でか楽しい気分になって、吉野さんと2人で笑いながら、早速パクってきたトイレットペーパーを使って濡れた床を拭き取った。
それからは、たわいのない話をした。
中学の時に流行っていたものとか、好きな音楽とか。
楽しかった。
楽しそうに話す吉野さんの顔を見るのが、とてつもなく楽しかった。
少しずつ吉野さんの事を知っていくのが、嬉しくて仕方がなかった。