重ねた嘘とサヨナラを
貴方が笑ってくれれば、私の世界は淡い桃色に染まるの。
私の言葉に、ゆっくりと晋作さんの口端が上がっていく。
引きつってて、全然上手く笑えてない。
それでも。
「行ってこい」
優しく柔らかい声に押されて、私は一歩ずつ歩いて行く。
「行ってきます」
「必ず、帰ってこいよ」
思わず笑ってしまった。
当たり前じゃない。
「私の帰る場所は一つだもの」
ただ、貴方の元へ。
さあ、行こうか。
私の知らない、新たな世界。
貴方がそばに居ない世界へ。