重ねた嘘とサヨナラを
ええ、全く。
私は乾いた笑みを浮かべることしかできなかった。
…………肯定したら、殺されそうだもの。
かくして私は沖田さんと市に来た訳だけれども。
「……あの、沖田さん。そろそろ、買い出しに……」
遠慮がちに言うのだけれど、沖田さんの返答は先程と変わらず。
「もう少し待って」
ばかり。
私は大量の空いた器と、餡子を頬に付けた彼を見て。
こっそりと溜息を吐いた。
私は、食材の買出しに来たのであって、彼の買い物に付き合う義理はない。
けれど、一円も持たない私は、彼に頼るしかない。
ああ、でもこの前では夕餉に間に合わないわ。
赤く染まった空に、私は再び溜息を着く。
____晋作さん。
私、早くもここが嫌になりそうだわ。
やっと甘味処から解放されたのは、それから半刻ばかりたった後。
それから急いで買い物を済ませて、屯所に戻る。
当然、門には鬼が立っていて。
「おい、総司。お前どこをほっつき歩いて嫌がった?」
「えー、私だけですか?夢路さんも一緒でしたけど」
………私が何をしたって言うの。
「てめぇだけだ。夢路は夕餉の支度にかかれ」
「はい、遅くなって申し訳ありません」
「てめぇは悪くねぇよ」
そりゃそうだわ。
私まで悪いだなんて言われたら、ためったものじゃないもの。
「だから、何で私だけ……」