重ねた嘘とサヨナラを

いつまでもごねる沖田さん。

ああ、土方さんの額に青筋が……。

巻き込まれないように、さっさと移動する。

そのすぐ背後で、土方さんの怒りが爆発した。

……まるで、大きな子供だわ。

疲れる。

今日何度目かの溜息を吐き出して、私は袖を捲りあげた。

短時間で、沢山の食事を作らなければいけない。

けれど、丁寧で、滋養があるものを。

手際良く、野菜を切っていく。

昔は、下手くそで。

何度も指を切ってしまって。

それでも、私の手が跡も残らず綺麗なのは。

いつも、貴方が薬を塗ってくれたから。

自分が痛そうな顔をして、薬を塗ってくれる貴方がいたから。

だから、私は。

そんな貴方の為に作るの。

美味しいって、微笑みを見れれば。

大変なことなど何もないわ。





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