世界を守れそうな6人
どうすれば良いのかが分からずに、いろいろな思考が渦巻いている中、

蛍人の耳に入って来たのは先程まで走っていた旭の声援であった。

その声援で蛍人の頭の中に渦巻いていた物が一気に消えてなくなる。

折角繋いでくれたバトン。そして負けまいと必死になって走ってくれた4人。

自分がここでそれを無駄にしてはいけない。

蛍人は一気に加速する。里緒との距離は一気にとまでは行かずとも、徐々に縮まる。

もう追い越せないんじゃないかと誰もが不安になったのが嘘のようであった。


「……先輩っ!」


柚太が任せろと言わんばかりに立ちはだかっていた。

バトンを渡すまでの数メートル、

蛍人は無我夢中になっていて何が起こったのかを覚えていない。

その次に見たのは柚太が郁人を追って行く後ろ姿。

ああ、渡せたんだと蛍人はうっすらと笑みを浮かべた。

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