神様はピエロ、




「菜央、あんたは
最近どうなのよ?」



凛が急に話をふる。

あたしにも彼氏がいて
最近2ヶ月を迎えたばかりだ。

正直いって上手くいってない。
‥というかお互い体だけの
存在なのは明らかだった。



「なんか恋人って感じ
しないんだよねえ。
旭は体目的って感じだから‥」

「あんた、あたしの心配
してる暇ないでしょ?
菜央が一番可哀想だよ‥」



柚子が自分も大変なのに
心配してくれている。

凛もあたしの頭を
撫でてくれてる。


だからあたしは素直に
自分の気持ちを
話すことができる。



「あたし‥
旭のこと好きなんだけど、
旭はあたしの体が目的でね‥。
でもあたし体だけでも
旭の隣にいれんなら
やばい幸せだし、」



きっとあたしは
無邪気に笑っていた。

無邪気の意味を
よく分からないから
安易には使えないけれど

きっとあの笑顔を人は
こう呼ぶんだと思う。



汚れや疑うことを知らない無邪気な笑顔。




うん、あの時までは
純粋になにかを感じてた。

でも神様は意地悪だから、
あたしが幸せになりたい
と神様に願った瞬間、



裏切った。





欲しいと思わなければ、
もどかしくなって
泣くことも叫ぶことも
なかったのに‥。





それでも、欲しかった。
好きな人に愛してほしかった。




旭が好きだった。




それだけだった_




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