神様はピエロ、
今はこんなに冷めた関係だけど
付き合い始めた当初は
本当にラブラブだった。
あたしが旭と付き合い始めたきっかけは‥
―
ある日、男友達から
旭を紹介された。
その時は好きでもなかったし、
全然恋愛対象じゃなかった。
ただ旭はあたしのことが
好きだったらしく
頻繁にメールをくれたり
電話をしてくれたりした。
つき合ってもないのに
一緒に帰った時もあった。
「菜央~」
「なあにー?」
「好きだよー」
「へえ~」
「菜央~」
「‥なあに?」
「チューしてい?」
「だ~め!」
「菜央~」
「‥なんなの?」
「手つないでい?」
「・・・、いーよ」
「まじで!?」
「‥まじだよ!」
ぎゅって手を握られた。
旭の手は骨々してて
大きくて本当に男の子の
手って感じだった。
その時、旭に対する
恋心が芽生えてしまった。
「菜央の手、可愛い~」
「なにそれー‥!」
「褒め言葉だよー」
「‥もー旭の馬鹿。」
急に態度を変えるわけにも
いかず旭には冷たい態度しか
とれなかったけれど、
明らかに旭はあたしの気持ちを
見透かしていたと思う。
旭は何気に勘が鋭いから。
旭が可愛くて、
仕草とか言動の一つ一つが
あたしを喜ばせてくれた。
あたしは
本当に幸せだった。