この勇気をくれたのは君だったよ
この勇気をくれたのは君だったよ
偽りの恋人
高校二年。
先輩と後輩に挟まれる私の毎日は窮屈だった。
『愛ー菜ちゃん!
今日も俺といいことしよ?』
軽い口調で、軽く私の腰に手を回すのは三年の橋本先輩。
『今日は無理です。
先約があるんで。』
いつも棒読みになってしまう私。
それを聞いた橋本先輩はクスッと笑う。
『相変わらずの棒読み、そんで相変わらずの男絡み?』
『そうですけど、何か?』
『いーや、別に。
愛菜が誰とキスしようが、誰と体の関係になろうとも俺には関係ないし。
愛菜が暇な時にでも相手してよ?』
私は誰からも必要とされていない女。
異性からはこの身体が気に入られる。
けど、私は知ってる-…
私を抱いても、彼らは皆、私を好きにはならない、と。
『先輩、明日は?』
『あー、ごめん。
明日は彼女と約束があんだわ』
ほら、私の暇な時にとか言いながらも彼女を優先する。
結局必要とされているのは、この身体だけ。
けど、私は女に産まれて良かったと思う。
例え、身体だけの関係でも人と繋がることだけは出来るから。
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