秘色色(ひそくいろ)クーデター
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会長に案内された教室は、4階にある生徒会室の隣の資料室。
生徒会室から出入りも出来て、もちろん廊下から入れるドアもある。そこの鍵は会長が管理しているらしい。
「ここなら、職員室に近い放送室よりいいと思う。非常階段を使えば多分殆ど人に見つかることもない」
「……確かに、そうですね」
資料室と言っても、教室と同じくらいの広さがある。壁一面に棚があり、真ん中には長テーブルが4つ、ひとかたまりに並べられている。
隅にあったパイプ椅子を取り出して、会長は並べていく。
結局会長がいればいろんなことが楽になる、と思ったのだろう。鷲尾先輩は立森先輩や七瀬先輩と話をして、そう決めた。もちろん大和くんや浜岸先輩は不服そうな顔をしている。
蒔田先輩はどうでもいいのか、なにも言わないし、柿本さんはずっと黙ったままだ。榊先輩もそういうのは興味がないらしい。
私は……まだよくわかんない。
「じゃ、話をしようか!」
みんなが席につくと、真ん中に座っていた会長が張り切った声を発した。
会長の隣に鷲尾先輩。ちょっと驚いた顔をして会長を見つめている。
私はちょうどその向かいに大和くんと並んで座っていた。大和くんはというとむっつりとした表情のままで、口は縫い付けられたんじゃないかと思うくらいぎゅっと閉じられている。
「どういう計画なの?」
「っえ? あ、えと。終業式の日に……放送を流したいと、思ってます」
「ああ、前の放送みたいに?」
「そう、です。でも、せっかくやるなら、僕らだけじゃなくて他の人も言いたいことがあるんじゃないかって思って」
「なるほどね。で、もっと詰めた話をみんなでしようって思ってたんだ」
「はい」
……なんだか、先生みたいだなあ。
会長の口調や鷲尾先輩の意見を聞いていると、そんなふうに感じてしまった。