秘色色(ひそくいろ)クーデター
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生徒指導室はあまりにも汚れていたため明日以降にしようということになり、4階の音楽室を先に終わらせることにした。
さほど汚れていないため、2時間ほどで終わることができて、鍵を閉める。
「思ったより早かったね」
「まあな」
そういえば。
鍵をかけてからふと気がついた。
「鍵って一部屋ずつ返したほうがいいのかな?」
「あーどうなんだろうな。しらねえけど。めんどくせえから最後でいいんじゃねえの?」
それもそうか。
掃除が終わったと思われて生徒指導室を見られても困るし……。
「ちょうど小腹も空いてきたしさっさと行くか」
「なに食べたい? ハンバーガーかなーパスタかなあー」
「俺あんまり店しらねえから、お前の好きなところでいいよ」
じゃあやっぱりハンバーガーかな。それでも時間があるし、ケーキも食べたいなあ。茗子と話してた新しいカフェもそう言えばまだ言ってないし。
でも先に行ったら怒られちゃうかな。一緒に行こうって約束してたもんなあ。
……一緒に、また行けるのかな。
茗子のことを考えて、そんなことを思ってしまった。
私はやっぱり、茗子のことを嫌いにはなれないんだと再確認してしまう。
大和くんのことを知っていながら、あんなふうに私に言っていたことは、嫌だなって思うけど、一緒にいるのは楽しかった。
電話するにしても、なにを言えばいいのかわからくて逃げたまま。
茗子からも連絡はない。
もういいや、って思ってしまっている自分もいる。