アリスには赤い薔薇を 猫には白兎の首を




「……っどぅしてぇ!?」



いかないで
消えないで



私の記憶





「なっ…んで」



両手をきつく
握りしめた。



信じたくない
認めたくない




「なんにも
覚えてないのぉっ」




覚えているのは
うさぎの穴に
入ったとこから。



どうして私が
この世界に来たのか
その理由さえ
知る術はない。





痛い。



治してもらい
もう傷痕すら
残っていない
左腕がなぜか
痛んだ。





「それが、この
不思議な世界の
決まりみたいな
ものだから」




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