アリスには赤い薔薇を 猫には白兎の首を



「そ、んなの
私知らないっ
知りませんっ」



ただ、帰りたいの。



家に帰れば
何もかもきっと
悪い夢だったって
笑いとばしてるはず。




「知ってるよ
君は知っている

これは君が
望んだことでも
あるからね」



猫は少し
悲しそうな
表情になった。



「私が……?
みんなを忘れたい
って……?」



「君は望んでいた

だからこの世界に
来た

でもこの世界に
長くいてはいけない

早く名前を
思いだす必要がある

……君の為に」



灰色と水色の
ボーダー模様は
どこかで何度も
見たことがある

そんな気がした



この、優しそうな
雰囲気もどこかで…




やっぱりなんだか
悪い人ではない
と思えた。



私のことを
考えてくれている


そう感じた。




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