アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
一陣の風。
アリスの髪が
風になびいた。
さわさわと
草花が揺れる。
「鍵?」
「うん、どうやら
それぞれに合った
【鍵】を見つければ
だんだん記憶が
戻るみたいだよ」
「私があなたの
鍵なんですか…
でも私人間よ?」
「【鍵】は
その人によって
違って形はバラバラ
みたいなんだ
それにひとつとは
限らない」
「そんな……」
私の記憶の【鍵】は
どんな形のモノかも
いくつあるのかも
わからないなんて…。
どうすればいいか
わからなくて
何をすればいいか
わからなくて
私は俯く。
この世界は
おかしな世界。
私にわからない
ことが多すぎる。