アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
可能性が
あるのなら
記憶を
取り戻せるなら
「私、自分の
【鍵】を探します」
ここにいても
何も変わらない
疑問が噴水のように
溢れ出てくるだけ。
「いろいろ
教えてくれて
ありがとう
ございましたっ」
私はぺこりと
礼をすると
その場から
離れようとした。
「……ぁれ?」
ぐいっと
腕を引っ張られた。
「待って」
腕を掴まれて
いるので前に
進むことは叶わない。
アリスは猫の
方を振り向く。
「アリスは僕の
【鍵】だよ?
一緒にいて
もらわないと
僕の記憶は
いつまでたっても
戻らないまま」
あ。
【鍵】って
傍にないと
駄目なんだっけ。